力学② 応力・応力図・トラス

対象講義: 養成アプローチ力学 第6〜10回、BASIC講義(応力編)、基礎講座第1回。N図・Q図・M図を描く問題と、トラス部材力は「コツさえ掴めば点が安定する」分野です。

学び方の全体像

応力とは「梁を仮想的に切ったとき、切り口に現れる内力」。反力が求められれば、あとは切って片側のつり合いを考えるだけ。まず切断法の考え方(第2節)→応力図の描き方ルール(第3節)→ラーメン(第4節)→トラス(第5節)の順で。いきなり応力図を描こうとしないこと。

1. 応力の3種類と符号

応力記号向き正の定義
軸方向力N部材軸に平行切断面を引っ張る向き(引張+)
せん断力Q切断面に平行(軸に垂直)左側切断面で上向きを+とする流儀が多い
曲げモーメントM回転梁が下に凸(たわむ)向きを+
切断した左側と右側では同じ大きさ・逆向きの力が現れる(作用・反作用)。片側だけ考えればよいので、外力が少ない側を選ぶのが原則。

2. 切断法 — 応力の求め方ステップ

  1. まず全構造物の反力を求める(片持ち梁は自由端側を使えば反力不要)
  2. 応力を知りたい点で梁を切断し、外力の少ない側を残す
  3. 切り口に N・Q・M を「正の向き」で仮定する
  4. 残した部分で ΣX=0, ΣY=0, ΣM=0(切断点まわり)を立てて解く
A 切断点 X P VA Q N M 残した左側部分でつり合いを考える

3. N図・Q図・M図の描き方ルール

応力図は「左から右へ力を読みながら描く」と機械的にかけます。

荷重Q図M図
集中荷重(点)階段状に飛ぶ(荷重点で段差)折れ線(荷重点で折れ曲がり)
等分布荷重(区間)傾斜した直線(傾き=−w)二次曲線(放物線)
荷重なし区間水平線直線(傾斜)
単純梁・等分布荷重 w Q図 +w·l/2−w·l/2 中央で 0 M図 Mmax = w·l²/8 (下側引張=下に描く)
M図の描画位置: 講義の流儀は「引張側(凸側)に描く」。単純梁の+モーメントは下に凸=下側が引張だからM図は下に描く。片持ち梁は上側が引張=上に描く。向きを逆に描くと減点。
Q図が0になる位置= Mが極大になる位置。等分布荷重の単純梁では中央でQ=0→Mmax=w·l²/8。この連鎖は選択肢問題で頻出。

対比で覚える: 集中荷重の単純梁

単純梁・集中荷重 P(Aよりaの位置、B側b) P a b Q図 +Pb/l−Pa/l M図 Mmax=Pab/l(荷重点で折れる)

対比で覚える: 片持ち梁の集中荷重

片持ち梁・先端に集中荷重 P P Q図 一定値 P(正負は流儀による) M図 固定端で最大 P×l → 先端0(上側引張=上に描く) ※M図は引張側(凸側)に描く流儀

4. ラーメンの応力

門型ラーメンもやることは同じ: 部材ごとに切って「柱部材」「梁部材」それぞれでN/Q/Mを求め、部材軸に沿った向きで応力図を描く。柱では軸方向力が鉛直、梁では水平になるので向きに注意。

  1. まず反力を全部求める(水平荷重→HAを忘れずに)
  2. 柱: 下端or上端側を切ってN(鉛直力の和)とM(距離×水平力)
  3. 梁: 節点から切ってQ(鉛直力の和)とM(距離×鉛直力)
  4. 節点のモーメントは柱側と梁側で同じ値で連続(剛節点)
ヒンジ節点(ピン節点)では M=0。問題図にピン記号があれば「そこのモーメントはゼロ」が即座に条件として使える。
ラーメンの切断位置(部材ごとに切る) P 梁の切断(節点Eから右/左) 柱の切断(高さ方向) 柱のN=梁からの鉛直反力 梁のQ=鉛直力の和 節点のMは柱・梁で共通(剛節点)

5. トラス — 節点法と切断法

トラスの前提: 全節点はピン結合・各部材は軸力(引張or圧縮)のみ。曲げ・せん断は入りません。解法は2つ:

方法考え方向いている場面
節点法各節点で ΣX=0, ΣY=0 → 未知部材は最大2本まで解ける端から順に全部求める
切断法トラスを3部材以下を切るように切断→片側でつり合い(ΣMも使える)特定の1本だけ知りたい問題(試験はほぼこれ)
P 切断法: 3本以内を切る線を引く
節点法の符号: 未知の部材力は引張(節点から離れる向き)で仮定する。答えが負→圧縮。すべての部材を同じルールで仮定すると混乱しない。

節点法のつり合い(1つの節点を拡大)

節点 N1(仮定: 引張) N2(斜め) 荷重 P ΣX=0: N1 + N2·cosθ = 0 ΣY=0: N2·sinθ − P = 0 斜め部材はまず成分に分解
切断法で ΣM を取る点は「残り2本の部材が交わる点」。そうすると求めたい1本だけが式に残る。中心点の選び方が全て。

切断法の例(指定部材だけ抜き出す)

切断線: 求めたい部材+他2本を切る 求めたい部材 残り2本の交点=ΣMの中心 荷重

確認問題

Q1. 等分布荷重が作用する区間で、せん断力図(Q図)はどんな形? 選択肢を図でイメージ: ① 水平線 ② 傾斜直線 ③ 二次曲線(放物線)
② 傾斜した直線(一次関数)。M図は二次曲線(③)。集中荷重=階段/折れ線、との対比で覚える。
Q2. 片持ち梁の応力を求めるとき、切断して残すべき側は? P 切断点 ① 固定端側を残す(反力が必要) ② 自由端側を残す(反力不要)
② 自由端側。固定端の反力(VA・HA・MA)を先に求めなくて済む。
Q3. トラス部材の力を1本だけ求めたい。節点法と切断法どちら? 切断線 赤の部材だけ知りたい ①節点法 ②切断法
② 切断法。対象部材を含め3本以内を切る線を引き、他2本の交点まわりでΣM=0を立てる。